「バリいくつ?」は基本的におもしろおかしいケータイ情報ブログなのですが、この話題はちょっと触れたかったもので。多少話が堅くなることをご容赦いただきたく存じます。
「博士募集」に応募殺到 秋田県教委が教員採用
まず読者の皆様とイメージを統一しておきたいのですが、ここでいう「博士」は、ロボットアニメで新兵器を開発している「はかせ」ではなく、大学で4年、大学院で修士課程2年+博士課程3年(これでも最短コース)学んで取得する「はくし」のことです。決してお茶の水博士のような人ではありませんw。
さて、博士号取得者は、大学卒業者より最短でも5年も多く勉強したのだから、さぞかし頭がよくてスキルも高くて、社会に出ても引く手あまただろうと思われるかもしれませんが、実際はそうでもないのです。
- 博士号取得者は(飛び級などを考慮しないと)最短でも27歳まで社会に出ずに研究だけをしていることになるため、同年齢の学部卒就職者と比較して社会的経験が少ないということで企業が採用を敬遠しがちである。
- 平成に入ってから行われた大学の「大学院重点化」によって、博士号取得者が増加したにも関わらず、研究者としてのポスト(大学教員、研究所員など)はほとんど増えず、結果として博士が余っている。
というような事情で、博士号取得者の就職事情は絶望的な状況です。博士号取得までのスキルを生かそうにも研究者ポストがなく、かといって研究業績をすべて捨てて「新人としてがんばりますから雇ってください!」と言っても、だったら学部卒の若い新人を雇うよという話になってしまい、八方ふさがりになってしまうのです。
この手のニュースを見るたびに「もったいないなぁ」と思ってしまいます。確かに専門特化されていて企業とのマッチングは難しいかもしれませんが、博士号取得者はその国の「知の結晶」のはずです。その結晶が価値を見出されることなく野に放り出されてしまっている現状を、国の偉い人はどう思っているのでしょうか。
自分はいろいろな経緯により、博士号を取得しながら(その研究スキルをあまり生かすことなく)民間企業で働く身ですが、そういう自分がいつも感じるのは
- 民間企業は利益を出すことが最優先目的なので、遠大なビジョンを見通すことに最適化されていない
- 遠大なビジョンを見通し、次世代の方向性を社会に示すのはやはり研究機関と、そこで働く研究者である
ということです。国家間の力比べでいえば、企業ランキングは「今の国力」、大学ランキングは「次世代の国力」を表すと言えるでしょう。日本は景気が悪くなったとはいえ「今の国力」は世界的に見てもそこそこのほうだと思います。しかし「次世代の国力」はどうでしょうか。ここまで読んでいただいた賢明な読者の皆さまならば、将来の危機的状況がご理解いただけると思います。
最後に、博士の就職難について問題提起を続けているサイトを紹介して終了としたいと思います。この問題に興味を持っていただいたならばぜひご一読いただきたく存じます。
博士の生き方