2008年03月31日

次世代携帯電話、通信方式統一で端末に互換性へ

読売新聞記事より。2010年ごろにスタートする次世代携帯電話は方式を統一し、端末を自由に選べるようになるという内容です。

記事によると、KDDIが次世代携帯電話として、DoCoMo・SoftBank・イーモバイルと同じ「LTE」を採用する方向で調整中とのこと。また次世代携帯電話ではいわゆる「SIMロック」を禁止する方針を総務省が打ち出していることから、キャリアと端末が切り離され、消費者は別々に自由に選べるようになるとのことです。

KDDIのLTE採用について、この記事では情報源を明らかにしていないため、話半分で聞いておいたほうがよいと思いますが、「バリいくつ?」的には、もし本当に次世代(というか3.9G)をLTEで一本化する場合の課題を考察してみたいと思います。

(1)KDDIはLTEを採用できるか?

最初に考えなければならないのは、そもそもcdma2000から(GSM/W-CDMA系列の)LTEにスムースに移行できるかどうかでしょう。この件については、同じcdma2000キャリアであるアメリカのベライゾンがLTE移行を表明していますし、LTEではcdma2000と同じ1.25MHz幅単位での運用もサポートしますので、技術的には問題ないのでしょう。ただ2010年となると、800MHz帯再編の真っ只中で、KDDIは新800MHzを5MHzしか使えない状態です。新800MHzのうち1チャンネルはEV-DO Rev.Aで使うので、LTEを割り込ませるのは厳しいかもしれません。今こそKDDIに割り当てられた2GHzを有効活用するときではないでしょうか。

というわけで、「2GHzを有効活用すればKDDIのLTE移行は可能」ということにしておきます。ただし、KDDI向けの端末は当面cdma2000とのデュアル端末にしなければなりませんね。

(2)端末の共用化はできるか?

SIMロックが禁止され、端末とキャリアが分離されるとはいえ、現状の端末にはキャリア依存の機能が多く盛り込まれています。端末をキャリア共用とするためには、これらのキャリア依存機能について、一つ一つ決着していく必要があると思われます。

【周波数】
800MHz、1700MHz、2100MHzの国際標準に対応しておけば、とりあえずは問題ないでしょう。場合によっては700MHz・900MHz、1500MHzのローカル周波数にも対応させればよいと思います。国際標準にさえ対応しておけば、追加の周波数は比較的自由が利くところでしょうね。

【絵文字】
日本の携帯電話において、絵文字はもはやなくてはならない機能になっています。絵文字の内容はキャリアごとに異なっているため、これを統一する必要があります。ここはひとつ、キャリア同士が絵文字内容をすり合わせて「日本携帯電話統一絵文字セット」を共通化するのはどうでしょうか。で、海外端末メーカーが日本向けに端末を出すときにはこの統一絵文字セットに対応すればよいと。

統一絵文字セットは基本的に今の各キャリア絵文字セットのスーパーセットとすればよいでしょうが、キャリア依存の絵文字(iモードマークとかEZwebマークとか)は思い切って排除したほうがよいと思います。それで、どうしてもそういうものが必要になったときはいわゆるデコメ絵文字にして、メールサーバ側で何とかすると。

【Web仕様】
これはもう素直にWAP2.0でいいと思います。iモードだって「HTMLをダウンロードして画面に表示する」という機能は本質的にWAP2.0と変わらないわけですし。

【メール仕様】
これも素直にMMSにしましょう。iモードメールがMMSに勝っている点はほとんどないと思います。EZwebのメールは内部的にはIMAPですが、できることはMMSとほぼ一緒です。電話番号でメールができるという点もMMSは優れていますし、いっそキャリア間電話番号MMSも開放して欲しいものです。

【アプリ仕様】
ここが難しいところです。素直にMIDP2にしてしまえばいいと思いますが、過去のアプリ資産を考えるとDoCoMo向けにはDoJaが、SoftBank向けにはMEXA/JCSLが必要になるのは仕方ないところでしょう。auにいたってはBREWをどうするの?という話になります。ここは「基本はMIDP2+次世代共通拡張APIで、場合によりレガシーなAPI搭載を認める」「BREWはオプション扱い」ということでどうでしょうか。

【iチャネル】
3GPPでMBMSとして規格化されているので、これを取り込みましょう。iチャネルのFlashCastは、結局データチャンネルを開いてしまう都合上、大量データを送信しにくいですが、マルチキャストであるMBMSであればより豊富なコンテンツを配布できます。

※KDDIのEZニュースフラッシュはMBMSと同じような3GPP2の規格「BCMCS」で実現されています。SoftBankの「S!速報ニュース」は、単に定期的に端末がポーリングしているだけです。

【Music&Videoチャネル、EZチャンネル、S!情報チャンネル】
これもMBMSですね。

【おサイフケータイ】
2010年であれば、海外のNFC統一規格も立ち上がってくるでしょうから、それをうまく取り込んでしまいましょう。USIMに情報を保持して、機種変更時に何もしなくても情報を持ち越せる仕組みにして欲しいです。NFCをコントロールする仕組みは、前述のアプリの次世代共通拡張APIで提供すればよいでしょう。

【プッシュトーク】
個人的にはいらないのですがw、OMA POC (Push to talk Over Cellular) ワーキンググループで共通仕様策定をしているようなので、それを取り込めばよいでしょう。

【2in1】
USIMの規格として、1枚に複数の番号を持てるというのがあるので、それベースで規格をつめていく感じになるのでしょうか。LTE世代の初期には必ずしも対応しなくてもいいのではないかと個人的には思うのですが...。

(3)お客様にどう説明するか

実は一番大変なのはここかもしれません。今まで日本のケータイユーザは「DoCoMoの端末」を使っていると思っていました。端末共通化後は「NECの端末でDoCoMoの回線を使っている」ということになります。現状の固定電話機とほぼ同じイメージですね。ただ、いきなり「LTEの端末はドコモショップでは修理を受け付けません。NECに持っていってください」では、消費者は混乱するばかりでしょう。

ソフトランディング策として、上記の共通使用端末を、最初の2〜3年は「SuperFOMA951シリーズ」(名前は適当です)とか言って売って、サポートもドコモショップで行う、ただ実はSIMロックはかかっていなくて、SoftBankのSIMを挿して設定をすればYahoo!ケータイが使える、ただその設定に関してはサポートしませんとかいう形にすればよいのではないでしょうか。


「端末の共通化なんて無理なんじゃないの」と思いながら書き始めましたが、書いているうちに何とかなるんじゃないのと思い始めました。ただこれだけの仕様を後2年で詰めて実装して端末を出すというのは生半可なことではないでしょう。ステークホルダーが多い上に期間も短いので、もし本当にやるとしたら強力なプロジェクトマネジメントチームが必要となります。総務省はここまで考えて「共通化」と唱えているのでしょうか。旗だけ振って何も変わらなかったということは避けて欲しいです。

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posted by えど at 08:57| Comment(1) | TrackBack(0) | 携帯電話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
KDDIはもちろんですが、個人的にドコモにとっても厳しいような気がしますね。
やたらオリジナル仕様に拘ってきたドコモです。お金がかかるにも関わらずそうしてきたんですから、何かしら理由があるんでしょう。それができないんですから。それから、もう端末や新機能では勝負できないので、料金と品質・サービスで各社競争になるんでしょうが、それだとドコモ社内で人手が余りすぎて…。NTT本体も2010年で再編問題が浮上してきますし。
グローバルという意味では大きな一歩になるんでしょうけど、踏み外せば一気に破綻しそうで怖いですね。斬新かつ有能な人に、是非物事を進めていって欲しいものです。
Posted by インコ at 2008年04月01日 10:03
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