家電批評 2015年 06 月号 [雑誌] (Amazon.co.jp)
普段はあまり読まないのですが、移動中の暇つぶしとしてこの手の(ITガジェットを含めた様々なモノを紹介する)雑誌を読むことがあります。今回読んだのは「家電批評」。格安SIMとWi-Fiの話題。Wi-Fiは通信量が制限されがちな格安SIMの補完手段としても用いられるので、この規格の組み合わせ自体は非常に目の付け所がよいと思いました。
ただこの手の雑誌を読むと、細かいところの記述誤りが非常に目につきます。大まかな理解には問題ないことが多いのですが、どうしても気になってしまいます。例えば……
【格安SIMについて】
・「格安SIMもキャリアも理論上の通信速度が同じ」→MVNOは通信量(帯域)単位でMNOに費用を支払うため、利用者の増加で帯域が不足して極端に速度が落ちる場合がある。無線区間の通信速度が「理論上」同じというのは事実だが、ユーザーの実運用を考えると説明が不誠実。
・最高速度が150MbpsのSIMと225MbpsのSIMが存在するように記載→docomoのMVNOならここで差が出ることはない
・ZTE Blade Vec 4Gがfreetel XMのOEMと記載されている→言うまでもなくBlade Vec 4Gのほうがオリジナル(ZTEかわいそう)
【Wi-Fi特集について】
・通信規格の最大通信速度を規格上理論値で記載(802.11nなら600Mbps、802.11acなら6.9Gbps)→間違っていないが現状国内で入手できない規格上限値の記載に意味があるのか?
・認証方式としてWPAとWPA2、暗号化方式としてWEPとTKIPとAESという記載→WEPはどちらかというとWPA・WPA2のカテゴリに入るのが自然
・不正アクセス対策として「インターネット共有をオフにする」→インターネット共有はPCをルーターとして使用する機能で、通常の運用で利用されることは少ない。むしろWindowsファイアウォールあたりを取り上げるべきでは。
・PCに接続されたプリンターをWindowsの共有プリンターにする記事のそばにエプソン PX-1700Fの写真→PX-1700Fは自身がネットワークプリンターになれるので、Windowsの機能で共有する必要はない。
【その他】
・アキバ系裏家電として、HDMIのプロテクト解除器や携帯ジャマーと並べてSIMフリー携帯を取り上げるのは(同じ雑誌内で格安SIM特集を掲載しているのに)おかしくないか。少なくとも記事内で紹介されていたSIMフリー携帯は法的にも利用に問題なく「裏家電」と紹介されるのは不適切。大きく紹介されたStarQ Q5002が怪しげなグッズに見えてしまう。
唯一石川氏のコメント記事だけは安心して読むことができましたが、それ以外は全体的にツッコミどころが多い感じです。あまり偉そうなことは言いたくないのですが、この手の特集をするならスタッフに一人でいいからモバイル・IT系のライターを入れたほうがよいのでは。