「W-CDMA陣営の失速に懸念」というKDDIのコメント


W-CDMA陣営の失速に懸念~KDDI小野寺社長 (ITmedia)

調べ物をしていてたまたまこの記事を見つけました。2002年10月の記事ですから、KDDIはcdma2000 1xによる3G移行を順調に進める一方、docomoは第1世代FOMA(N2002やP2101Vなど)をようやく立ち上げた状態、時のJ-PHONEに至っては全く3Gが立ち上がっていない状態でした。

もっとも自社の展開には余裕たっぷりの様子で、講演で時間を割いたのは、KDDIの3G成功の理由よりも、むしろ“W-CDMAがどうしてうまくいかないのか”の方。「これはCDMA2000 1x陣営にとっても問題。3G普及のためには、W-CDMAの成功によって世界的にコンテンツの開発が進まなければならない」とその失速ぶりを懸念して見せた。

余裕しゃくしゃくの小野寺社長ですね。いまや世界の3G端末市場はおおむねW-CDMAやHSDPAに移行している一方でcdma2000は縮小傾向にあり、小野寺社長の「望みどおり」になっているのではないでしょうか。

「W-CDMA方式は10年前のアナログの時代に考えられたもの。IPベースが中心の現状にそぐわない」と持論を展開(3月29日の記事参照)。「W-CDMA陣営も、(HSDPA:High Speed Downlink Packet Accessという)パケットに特化したものを研究している」と、無線通信においてもパケットが主流になりつつあることを強調した。

これについては指摘通り、HSDPA->HSPA+->LTEという流れの中で、オールIPのパケットが主流になっていますね。

「(3Gへの移行においては)バックワードコンパチビリティ(下位互換性)は必須。アナログ(1G)からデジタル(2G)に変わった時とは、状況が全く異なる」(小野寺氏)。ドコモ関係者はたびたび「3Gへの切り替えも、アナログからデジタルのときと同じだ」と言うが、当時のように利用者もまだ少なく、エリア展開も不完全だった時代とは状況が違うというわけだ。

なんだかんだいって、docomoもSoftBankも3Gへの移行を進めていますね。少なくとも日本においてはバックワードコンパチビリティは必須ではなかったということになりそうです。そもそもKDDIだって800MHzの再編で旧端末を切り捨ててバックワードコンパチビリティを損ねるわけですし。

GSM陣営では、そもそも日本と韓国を除く世界各国がGSM方式を採用。国際ローミングは当たり前の話だ。下位互換性を重視し、W-CDMAにおいてもGSMとのデュアル端末を基本としている。また「英国では総計2兆円」(小野寺氏)といわれるように、3G免許の取得に多額の費用がかかることから、 W-CDMAサービスをあきらめたり、スタートを延期する通信キャリアが続出している。

いわばドコモが成功するかどうかを、世界中が見守っている状態が続いている。「ドコモの責任は大きい」と小野寺氏は言う。

現在の状態を見るに、docomoは責任を果たしましたね。結果的にW-CDMAを開始しているキャリアも欧米中心にそれなりにありますし、Verizonのようにcdma2000からLTEに移行するキャリアまで現れました。当のKDDIも、LTEでdocomoと同じ方式に合流するわけで。

同氏の答えは「テレビ電話は、かけるほうはいいが、受けるほうは、どういう状況で受けるか分からない。むしろメールで(動画を)受け取って、好きなときに見えるほうがいい」というもの。テレビ電話に対するニーズは今すぐ対応しなければならないほど、まだ高くはないと見ている。

テレビ電話については大正解でしたね。これからも普及の見込みはないと思います。

なんというか記事を読んでいて、当時のKDDIの勢いを感じる一方、現在のKDDIの状況と合わせて読み返すとちょっと痛い感じもします。大口は叩くものではないですね。

2 thoughts on “「W-CDMA陣営の失速に懸念」というKDDIのコメント

  1. fu

    ふと思ったけど読み返して痛い発言は孫氏のほうが多そう。多いというか矛盾がありすぎてばかばかしくなりそうだけど。

  2. えど 投稿作成者

    fuさんコメントありがとうございます。

    > ふと思ったけど読み返して痛い発言は孫氏のほうが多そう。多いというか矛盾がありすぎてばかばかしくなりそうだけど。

    孫氏は痛いとかそんなこと感じないタイプの人だと思いますよ。「その時はその時、今は今」みたいなw。

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