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ガジェットでねちっこく味わう映画「ハナミズキ」


映画「ハナミズキ」公式サイト 

DVDの発売が3/4だったのですが、気合入れて3/3にはヨドバシ札幌でフライングゲットしてきました。DVDを発売日(前)に買うなんて初めてです。

この映画のことを知り、強い興味を持ったきっかけははっきり覚えていません。ただ内容が遠距離恋愛ものということで、自分の中で「秒速5センチメートル」を強く想起したことは間違いありません。内容はというと、高校生で出会った二人が紆余曲折の遠回りをして、10年の時を経て結ばれるというものです(それだけかい!w)。「秒速5センチメートル」の時は正月休みに見て、バッドエンド(少なくとも表面的にはそう見える)の何ともいえない気分を年明けの仕事に引っ張ってしまいましたがw、今回はハッピーエンドということで、いい気分で明日の仕事に向かうことができそうですw。

感想についてはまたぼちぼち書くとして、ケータイマニア、ガジェット好きとしては、劇中に登場するガジェットが気になってしまうのです。一度本編を通しで見た後、改めて早送り、巻き戻し、スロー、一時停止など駆使してガジェット分析してみました。

電話関係で言うと、エンドロールに「NTT東日本」「NTT docomo」がクレジットされています。NTT東日本の方は固定電話が劇中の随所に登場していますが、一番分かりやすかったのは東京で一人暮らしを始めた主人公の紗枝の部屋の電話です。電話自身ははっきりと判別できませんが、バックに映る電話機の空き箱に「DCP-300i」という形式が書かれています。

【追記】DVD特典のダイジェスト映像の方には本編未収録の電話機のアップ映像があり、間違いなくDCP-300iでした。電話機の年代が時代設定に合っていないのが本編未収録の原因かもしれませんね。

DCP-300i
紗枝の部屋の電話「DCP-300i」

ニュースリリースによるとこの電話機が発売されたのは2009年11月4日。劇中の設定(1997年)との隔たりが非常に大きいです。固定電話機という性格上、時代によって大きく形が変わるものでもないので違和感は少ないですが。まあ撮影時点の新型電話機を調達したということでしょう。ちなみに大学4年(劇中設定は2000年)の時点では部屋の電話がFAX付きに変わっています。こちらは空き箱がないので機種特定できませんでした。

一方のdocomoですが、私が見た限り劇中に携帯電話が登場するのは1回だけ、2003年に北見の死亡を知らされて涙を流す紗枝の足元に携帯電話が転がっていました(おそらくこの携帯電話で知らされたのでしょう)。で、端末のシルエットからすると、明らかにMotorolaの「RAZR」シリーズなんですよね。キーの側に「アゴ」があるシルエットなのでまず間違いないかと。

MOTORAZR
Motorola RAZR V3

で、もしこれがdocomo端末だとすると「M702iS」か「M702iG」なのですが、前者はアメリカでのローミング使用が不可で、後者は端末の厚みからシルエットと合致せず、どちらにしても発売時期が2006年で劇中設定と合わずと、なんともじれったいw。RAZR自体、最初のモデルがアメリカで発売されたのが2004年なので惜しい感じです。

その他目についたところとしては、友人の結婚式を終えてニューヨークのオフィスに戻った紗枝に話しかける上司(?)のパソコン画面がどう見てもWord2007(2007年1月30日発売)で、劇中設定の2003年と合致しなかったりします。

全般にこの映画、人物描写の丁寧さとは裏腹に、ガジェットについての時代考証はあまり重要視されておらず、撮影の時点で調達可能なものを使ったような印象です。ガジェット描写が凄まじい「秒速5センチメートル」と比較してしまうと、ガジェット好きとしてはちょっと残念。

#「秒速5センチメートル」も第2話でC3003Pの画面を白黒にするなど虚構はありましたが

そもそもこの映画では全編で不自然なほどに携帯電話が登場しません。高校時代(1996年)はともかくとして、その後物語が完結する2006年まで、携帯電話の登場は上記の1シーンだけ。紗枝との再会で帰宅が遅くなった康平を妻が「何やってたの!」的に怒るシーンがありますが、このシーンの舞台となる2003年は、docomoで言えばmovaの504i~505iが全盛期で、携帯電話で「早く帰ってこい」と連絡を入れたとしても全然不自然でないはず。むしろ登場人物の誰もが携帯電話を持っていないほうが不自然です。

まあ携帯電話を登場させてしまうとこの手の遠距離もののストーリーが成り立ちづらくなってしまうので、ドラマを作る側としては登場させたくないのかもしれません。ただ、携帯電話が「人の想いと想いをつなぐデバイス」であると信じている自分からすれば、そのデバイスを物語にうまく取り入れて、それでもなおつながれない状況や心境をしっかり描写してほしかったというのが、ケータイマニアとしての感想だったりします。