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2018年の「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」、買わない理由を探している方へ


本日(2018/09/21)、iPhoneの2018年モデル「iPhone XS」「iPhone XS Max」が発売されました。少しお安い「iPhone XR」は10/19から予約開始、10/26発売予定です。いずれも2017年の「iPhone X」ライクな(ほぼ)全画面ディスプレイや、顔で認証するFace IDなど、いままでのiPhoneのイメージを覆すラインナップになっています。

すでに購入された方、これから購入予定の方もいらっしゃると思いますが、この記事ではこれらの2018年モデルを「買わない」とすればどのような理由があるのかを考えてみます。

1)高い

いたるところで言われている通り、今年のiPhoneは高いです。携帯電話に10万円オーバーの資金を投入するのははばかられるという人もいるでしょう。ただ高いだけならば「ほしいものにはお金を惜しまない」という考え方もアリですが、ともあれ、もう少し話を続けます。

2)Wi-Fiの新規格

スマホには欠かせないWi-Fi、実は新しい規格の登場が間近です。。直近では、現状の「WPA2」を長期的に置き換える新しいセキュリティ規格「WPA3」が正式発表済みで、2018年末以降に対応のアクセスポイントが登場する見込みです。また、より高速な通信規格「802.11ax」が規格策定中で、2019年末ごろに正式版になる見込みです(それより前に「ドラフト版」対応の機器が出てくる可能性があります)。2018年のiPhoneは、当然これらの規格には対応していません(WPA3はアップデート対応可能? 802.11axは無理でしょう)。

3)5Gの動向

現状の携帯電話ネットワークは4G(第4世代)です(LTEとか3.9GとかLTE-Advancedとかいう話題にはここでは言及しません)。こちらもやはり、次世代となる5G(第5世代)の登場が間近に迫っています。日本ではNTTドコモが2020年、オリンピックまでには導入するとしています。これから先2019年以降、5Gの話題がどんどん出てくるでしょう。

4)通信規格の変更は大きくない

iPhone XS、XS Maxでは、4×4 MIMOに対応することで「ギガビットLTE」に対応したことをアピールしています。また、Wi-Fiで利用している免許不要の5GHz帯を利用したLTE通信「LAA」に対応しています(いずれもXRは非対応)。

しかし、通信規格で新しくなったのはそのくらいで、例えばLTEの対応周波数(バンド)は、1世代前のiPhone 8やXと変わらなかったりします。速度向上に効果が期待される3.5GHz帯(バンド42)も、iPhone 8/Xから利用できます。

5)USB Type-C(USB-C)の噂

2018年10月に発表が期待される新iPad Proでは、接続端子としてUSB Type-C(USB-C)が採用され、2019年のiPhoneも既存のLightningからUSB-Cに移行するのではという噂があります。USB-Cは、すでにAndroidスマートフォンで採用が進んでおり、Appleも現行MacBookやMacBook ProのUSB端子として採用しています。MacBookに採用されているUSB-Cが、このタイミングでiPad Proに採用されるのは自然で、それならば2019年のiPhoneがUSB-Cになっても不思議ではないでしょう。

まとめ)2018年のiPhoneはすぐに陳腐化するかも?

2018年のiPhoneは「高い」ことを最初に述べましたが、問題は高いだけではなく、いろいろな技術の切り替え期に発売されるため、比較的早く陳腐化してしまう可能性があることに注意する必要があります。この手の商品は「ほしいときが買い時」で、待っているといつまでも買えないものですが、高い買い物ですので、先行きの可能性だけは知っておいてもよいのではないでしょうか。

【読書】体系的に学ぶWi-Fi/3G/4G/LTE/WiMAX:内容はともかく構成が体系的でないかも


体系的に学ぶWi-Fi/3G/4G/LTE/WiMAX (Amazon.co.jp)

タイトルの通り、最近の無線通信技術を概観し体系的に説明する内容になっています。携帯電話やタブレットのようなデジタルガジェットに興味があり、かつ通信技術のことをあまり深く知らない人にとっては良い内容です。ガジェクラの皆さんにはもう知った内容かもしれません。初版が2015/1/21なので、auのキャリアアグリゲーションやau VoLTE、802.11acの1.3Gbps、LTEの700MHz帯など比較的最近の内容が記載されています(さすがにSoftBank系4社合併やWiMAX 2+の新定額プランには言及されていません)。

ちょっと気になったのは、通読すると同じ内容が複数回登場すること。切り口が違うとはいえテザリングは最初と最後に、OFDMやQAMについてはWi-Fiと携帯電話通信の章で、それぞれ2回登場しています。同じ図が2回使われているばしょもあり、全体的に冗長感があります。複数のライターで執筆を分担した可能性は理解できますが、「体系的」をうたうならば全体をもう少し整理してもよいのではと感じました。

なお、自分が読んで気になった記述を以下に列挙します。

・「チャネルンディング」(P78)
→「チャネルンディング(Channel Bonding)」の誤り。索引でも「」ンディングになっている。

・802.11acとiPhone 6が規格上1300Mbpsで通信できるという記述(P84-85、P29)
→iPhone 6にはアンテナが1本しかないので433Mbpsが上限。この旨追記がある場合もあるが、そもそも追記ではなく最初から433Mbpsのみを記述するのが妥当かと。P29の図では「iPhone 6が11acで1300Mbpsで通信できる」としか読めない記述になっており完全にアウト。

・3Gと3.5Gの記述混乱(P142)
→「3Gの最大速度は7.2Mbps~そのため3.5Gが導入」のような記述がありますが、7.2MbpsはHSDPAの速度で、すでに3.5Gに分類される。この論調にしたいのならば384kbps(W-CDMA)または144kbps(cdma2000)を3G速度とするべき。

・インターネットメールのプッシュ配信(P183)
→IMAPの「通知」モード(=IMAP IDLEのことと思われる)に言及されていますが、Gmail、Outlook.com、iCloud.comがすべてIMAP IDLEでプッシュを実現しているように読めてしまう。少なくともOutlook.comはExchange ActiveSyncのはず。あとこれは間違いではないのだが、ここまでいうならiOSやAndroidのプッシュ通知(APNs、GCM)に触れてもよかったかも。

ただこの手の本は多少の記述ミスがあっても鮮度のほうがより大事だと思います。その意味で2014年末までの内容を反映しているこの本の速報性は見事だと思います。

【読書】すべてわかる4G大全


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日経コミュニケーションとITpro記事を集めて一部加筆して整理したムックです。日経コミュニケーションは定期的にこの手の本を出してますね。

内容はというとLTEからLTE-Advanced、その向こうへと進化を続ける携帯電話ネットワークから、オフロード先としてのWi-Fiの進歩、国内事業者近況、最近話題になっている通信障害についてなど。高速化・大容量化という技術的にハッピーな話題と、docomoの不振や通信障害などネガティブな話題のコントラストを感じました。携帯電話に興味を持つならば読んでおいても罰は当たらない感じです。

個人的には、韓国やアメリカですでに導入されているVoLTEと、国内事業者が導入しているVoLTEが異なる仕組みになっていることは初めて知りました(前者は3Gにハンドオーバーできない)。